気をつけよう暗い言葉と甘い道
駅から家に帰るまでのあいだにも、暗い道にはいろんなものが飛び出してくる
まず羽音がしてガレージの明かりに向かってなにかが突撃する、その道すじに私が立っている
あまり重い羽音ではない、光の中に浮かんだ形は丸く白かった
道脇に大きく広がっているアロエでは手を切る
ここらへんの道には、ももんがあが出るんですよ
ここらへんはね、よくももんがあが飛び出してきます
帽子をかぶり、網を持ち、夜の森の道を歩きながらその人が言っていた、テレビで
森の道だからここらへんの「道」とは違うけれど
ももんがあがよく出る道に、必ずももんがあが飛び出してくるとは限らない
飛び出してくるものがももんがあかどうか、目の前を横切る瞬間までは確かではない
「ももんがあだったな」と思っても、次に飛び出すものも同じようにももんがあかどうかは、わからない
何かが飛んでくる気配がする